神が五日目に作りたもうたリヴァイアサン——その仔にして、数多の勇者を屠ってみせた凶猛の怪物。今は、私と共に在るタラスク。

幕間の物語(女性鯖)

マルタ「妹と、弟と。

それなりに仲良く、たまに喧嘩もしながら暮らしていたんです。

生まれたのもベタニア。

育ったのも同じ街。

そうして、他の皆と同じように過ごしていくのだとばかり思っていました。

……いいえ。

本当は、どうでしょう。

先のことなんて考えていなかったのかも知れません。

いつだって忙しくしていましたから。

今夜の食事はどうしよう、明日の天気はどうかしら——

『彼』がいらした時にさえ、私、ばたばたしていたんですよ。

妹が『彼』の言葉に聞き入っている中で、私、お迎えする以上はあれもしなきゃこれもしなきゃって。」

マシュ「マルタさん、家庭的な女性だったのですよね。

立派だと思います。」

「親しみが湧くよね」

マルタ「そう、かしら。

幻滅させてしまったのではなくて?

人に慕われる聖女というものは、もっと、いつも輝いて……

そう、あのジャンヌ・ダルクのように。」

マシュ「いいえ、ジャンヌさんもあなたも、わたしには輝く聖女であると感じられます。

人を愛し、人の希望となった。

そういう女性たち。

だからこそ、あなたたちは等しく聖女と呼ばれるのだと思います。」

マルタ「……ありがとう。

マシュ・キリエライト。」

マシュ「いいえ——」

ロマニ「おっと、話の腰を折ってごめんよ。

そこから数百メートル先の海中で複数の魔力反応を感知したぞ。

マルタの懸念していた通り、修正されつつあるこのマルセイユ沿岸には何らかの歪みがあるようだ!」

マシュ「ドクター、海に潜る必要が?」

マルタ「必要ないでしょう。

いざともなれば、私のタラスクがあの群れ・・を陸へ誘導します。」

マシュ「群れ?」

フォウ「フォーウ?」

ロマニ「誘導?

って、フォウやっぱりそっちにいたのか。」

マルタ「ええ、あれは群れに違いありません。

正確に感じ取れてしまうのは、私の性質故なのでしょう。

完全ならざる竜の亜種の群れ。

十五世紀のこの地には有り得ざるものたち。」

マシュ「……この咆哮、ワイバーンのものです!」

ロマニ「なるほど、流石は竜の聖女!

ワイバーンの群れの発生を感じてたのか!」

「マルタ、タラスクを呼んで!」

マルタ「……どうということはありません。

この海辺は、かつてタラスクが支配した領域の一部。

神が五日目に作りたもうたリヴァイアサン——

その仔にして、数多の勇者を屠ってみせた凶猛の怪物。

今は、私と共に在るタラスク。

愛知らぬ哀しき竜。

さあ、タラスク。

太陽に等しく滾る熱を操り、今、ここに。

生まれいずる時を違えた哀れなものたちに、ひとときの眠りを与えましょう——」

ロマニ「聖女マルタの魔力反応増大!

こ、これは、怪獣タラスクVSワイバーン軍団か!?」

マシュ「ワイバーン群が到達します!

戦闘です、先輩!」

(中略)

マシュ「敵勢力、完全撃破を確認しました!

やりましたね、先輩。」

マルタ「——は。

百年早いわトカゲども。

たかがワイバーン、私とタラスクに敵うつもり?

どーせ、卵から孵りたてのヒヨコでしょうに、ぴーぴー喚いてうるさいったらない。」

マシュ「!!」

ロマニ「せ、聖女さま!?」

「アーアー聞こえない」

マルタ「……コホン。

これで、愛知らぬ哀れな魂たちは還りました。

神の愛は等しく。

ええ、かつてのタラスクと同じようにして。」

「は、はい。ですよね」

マルタ「どうしても言うことを聞かずに殺戮を選ぶ竜には、ええ、実力行使あるのみです♡」

ロマニ「お、おお……テリブル……。

いえ、感服いたしました聖女さま!

聖女マルタは、聖女であると同時に極めて優秀な竜殺しの達人でもあるのですね。

把握しました。

先輩、彼女は頼りになるサーヴァントですね。」

マルタ「いいえ、そんな。

私はただの——

——ただの、素敵なドラゴンスレイヤーです♡」

ロマニ「あれー!?

自分でドラゴンスレイヤーって言っちゃった!?」

フォウ「フォーウ、フォウフォウ!」