悪魔の出番なんてのはもう、どの時代にだってありはしないのよ。原罪はぜんぶ、あの人が持って行ってくれたんだから。

幕間の物語(女性鯖)

「……マルタさん、機嫌悪い?」

マシュ「はい……。

マルタさん、張り詰めていますね。

この時代に来てからというもの、ずっと。

この時代、第二の特異点である古代ローマ時代に何かがある——

とおっしゃったのは彼女なのですが。

喜ばしい事態ではないようです。

前回のように、竜種にまつわる事柄なのでしょうか。」

ロマニ「そうだとしたら、妙だよねえ。

前回は割とノリノリだったような?」

「個人的な因縁かな?」

マシュ「確かに——

一世紀は彼女が生きていた時代ではありますね。」

マルタ「……本来。

本来、有り得てはならないことです。

すべての魂は神の御心の下にあるのですから。

天国へも地獄へも行かず、地上をさまよう。

そんなことがあって良いはずがないのよ、だって、すべての……。

原罪は、既に……。」

マシュ「マルタさん?」

ロマニ「魂——

あ、魔力反応を感知!

前方から大量に!!

この魔力の在り方は間違いない、ゴースト系の怪物だ。

襲ってくるぞ、気を付けて!」

「マルタさん、戦闘です!」

マルタ「…………………………………チッ。」

マシュ「えっ。」

ロマニ「舌打ち!? 聖女さまが!?

え、な、何かボク変なこと言ってしまいましたか!?」

マルタ「有り得ない、つってんのにさぁ……。

なんでこーポコポコ湧いて出てくるのかしらね。

魂は、ぜんぶ、神の御許にって言ってんでしょうが……?」

フォウ「フォウッ。」

「き、聞こえない聞こえない」

マシュ「ぜ、前回のあれは夢ではなかったんですね、マルタさんの様子が何だか——」

ロマニ「ああっ、そうか、確かにそうなんだ!

魂が地上をさ迷うってのは、本来なら有り得ない・・・・・

神の御許へ、なるほどね。

うん。うん。

まあ実際のとこゴースト系怪物っていうのは、まあ、何かしらの魔術的要因があって初めて在るもので、本来の意味で自然発生・・・・するものじゃない。」

ロマニ「自然のシステムとしてはね。

でも待てよ、それを言ったら英霊だって——」

マルタ「……だから。

有り得ない、つってんのにさぁ。

どうして出てくるのかなあ、よりにもよって——

……この、私の前に!」

マシュ「聖女マルタの魔力反応、増大!

せ、先輩、宝具の真名解放が来そうですよ!」

ロマニ「マスターの指示もなしに!?

キ、キレてる! だめだ藤丸君!

怪獣タラスクなんて暴れさせたらローマが危ない!

彼女をちゃんと制御しつつ、せ、戦闘だ!

すみやかにゴーストの群れを排除!

いいね!」

(中略)

マシュ「甚大な魔力量を確認!

間違いありません、これは悪魔・・に類するものです!」

マルタ「………………タラスク。」

ロマニ「ああー駄目!

藤丸君急いで!

今度もちゃんと聖女マルタを制御しつつ敵を撃破!」

「マルタさん、よろしくお願いします!」

マルタ「………………許さない、許せない。潰す。」

フォウ「フォウ、フォウフォーウ!!」

マシュ「行きます!!」

(戦闘後)

マルタ「試練なんて充分間に合ってんの。

世界の有様を見れば、それくらいわかるでしょうに。

男であれ悪魔であれ空気読めないヤツに居場所はないわ。

さっさと地獄へ帰りなさいっての。

悪魔の出番なんてのはもう、どの時代にだってありはしないのよ。

……原罪はぜんぶ、あの人・・・が持って行ってくれたんだから。」

マシュ「……マルタさん……。」

ロマニ「よし、戦闘終了だ。

聖女マルタも大人しくなってくれたようだし、ふう。

めでたし、めでたしかな。

ああ怖かった……。」

フォウ「フォウ、フォーウ。」

ロマニ「あの悪魔の竜種並の強さもすごい怖かったけど、うん、ボクは聖女マルタもちょっと怖かったよ実際。

ああ、暴走とかしないでくれて本当に良かった……。」

マルタ「はい? 私が、何か?

貴方たちのおかげで、迷える魂も悪魔も去りました。

これもすべて神の御心でしょう。

そう、本来であれば、英霊などという形で私が在るのも自然ならざること。

ですが……。

少なくとも、世界を救わんとする貴方たちとなら。

私が仮初めに在ること。

復活ならざる復活を経て、ここにいることも。

……きっと、意味があるものと信じられます。

ありがとう。

藤丸、マシュ・キリエライト。」

マシュ「いいえ、聖女マルタ。

こちらこそ、力を貸してくださってありがとうございます。」

「うん、ありがとう」

マルタ「……はい。」

ロマニ「(あれ、ボクの名前入ってなかった? 今?)」

フォウ「(フォウ、フォーウ)」