都から遠く離れた東国で、娘は自分自身と争いました。はじめのうちは深い瞑想によって。激しい争いの後、娘の中にある魔性…丑御前はついに目覚めました。

幕間の物語(女性鯖)

金時「大将!

聞こえてんだろ、頼光の大将!

オレはどうにも納得がいかねぇ!

此度の東国行き、理由がひとつも見当たらねえぞ!」

金時「浅草川のあたりなんざ何もねぇ野っ原だろうが。

源氏の御大将がわざわざ都から出向くか?

鬼も蜘蛛も、出たって話は聞こえてねぇ。

それに、アンタ。

近頃なにか妙な感じだぜ。

その、なんつーか……

上の空っつーか……

オレを見つめたまま、ぼーっとして動かねぇ事も一日に二度や三度じゃきかねえ。

こいつは妙だ。」

頼光「妙……?

母は、何ら変わりありません。

源氏の次期棟梁であり、貴方を慈しむ頼光のままです。

…………いつまでも、永久にそうなのです。

そうであらねば……ならない……」

金時「あっ、おい大将!

話はまだ終わっちゃいねぇぞ!」

頼光「都から遠く離れた東国で、娘は自分自身と争いました。

はじめのうちは深い瞑想によって。

激しい争いの後、娘の中にある魔性……丑御前はついに目覚めました。

娘の体より離れ、牛頭天王の化身として顕現したのです。」

「本当に、二人に分かれた?」

頼光「はい。

そして、互いに殺し合いました。

顕現した丑御前、その姿はまさしく荒れ狂う半神。

空は荒れ、雷が狂い、地は砕けた。

娘は、これを討つために仲間と共に『自分殺し』をする事になりました。

…………本当に、愚かな行いでした。

こうして、愚かな娘は知るのです。

自分自身しか目に入らなくなった愚かしさの結末を。

他を慮る事なく振る舞って、愛する我が子を傷付けて……

いちばん悲しませたくなかった子を、あんなにも悲しませて……」

頼光「母は、あんなにも後悔した事はありませんでした。

あんなにも悲しくて、悲しくて……

何よりもつらいものでした。本当に……

だから、あんな気持ちは決して……

貴方には……

…………あら、藤丸さん?

まあ、寝入ってしまったのですね。

お説教の途中でそうしてしまうなんて、いけない子。

でも……

これで良かったのかもしれません。

私の恥ずかしい泣き顔を見せずにすみました。

これではお説教が台無しですからね。

うふふ。

なんと愛くるしい寝顔でしょう。

ああ、こんなに無防備に。

頬をつつきたくなります。

このままギュッと抱き締めて、貴方を枕にしてしまいたいくらいです。

ですが……

遅くまでの鍛錬でお疲れですものね。

わがままは我慢いたします。

今宵は、これにておやすみなさいませ。

藤丸さん。」