無限に食べられるケーキにすればいいんですっ! そう、どんなに滅ぼしても再生する材料——あの魔神柱の魔力因子なんてどうでしょう!

幕間の物語(女性鯖)

ダヴィンチ「おや、今日もご機嫌だねメディアちゃん。

聞いたよ、英雄王と征服王のケンカを収めたって。

いやあ、あの二人の本気のケンカを止めるなんて、並の英霊にできる事じゃない。

仲直りの秘密は何なんだい?

呪いとか効かないだろ、あの二人には。」

メディアリリィ「いえ、あのお二人は相手が憎くて争っているのではありませんから。

単に意見を言い合いたいだけなのです。

ですので、きちんとした落としどころを見つけて、最後にパンケーキを献上させていただきました。

困ったらパンケーキ。

何がなくてもパンケーキです♡」

ダヴィンチ「そ、そうなんだ。

しかしキミの時代にケーキなんてあったかな?」

メディアリリィ「現代こちらに召喚されてから勉強したんですよ。

魔術以外にも夢中になれるものがあって、それを美味しく食べていただけるなんて、メディアは幸せです♡」

ダヴィンチ「(……なるほど、これは勝てない。

こんな幸せいっぱいオーラをあてられたら、竜だってケンカを止めるな……)」

メディアリリィ「ああ、でも……

最近は困っています。

カルデアの食料備蓄が、その……」

ダヴィンチ「あ。

そうか、一年分の食料はあるけど、お菓子に回せる余裕はなかったっけ。」

メディアちゃん、魔術でなんとかならないかい?」

メディアリリィ「はい。

レイシフトで跳んだ先ならいくらでも材料を錬成できるのですが……

カルデアに戻ってくる時には手持ちの材料しか持ち運ばなくて。

時空のゲートも藤丸さん、マシュちゃんの分だけでギリギリですから、こちらに持ち込めるものといったら、パンケーキ一つ分の材料ぐらい——

あ。」

ダヴィンチ「どうかしたかい?

何かひらめいた?」

メディアリリィ「はい!

私、ガラにもなくひらめきました!

きっと天才であるダ・ヴィンチさんのおかげです!

一つしかパンケーキが運べないのなら、その一つを無限に食べられるケーキにすればいいんですっ!

そう、どんなに滅ぼしても再生する材料——

あの魔神柱の魔力因子なんてどうでしょう!」

メディアリリィ「ああ、急いで藤丸さんにお願いしないと!

みんなで魔神柱を狩りに行きましょうって!」

マシュ「そして一生懸命に“魔神柱を狩りに行きましょう”と懇願するリリィさんに負けてしまった、と……」

ロマニ「……メディアって、もとは天然だったんだね……

イアソンに酷い目に遭わされて、ようやく現実を知ったというか……」

メディア「みなさん、見つけました!

魔神柱の残留魔力です!

では、これを触媒にして他の魔神柱を釣り上げますね。

七十二柱もいるのですもの、一柱ぐらいいいですよね?」

マシュ「……そんな、魔神柱を今日の夕飯みたいに……」

メディアリリィ「それでは召喚陣を作ります。

メイプルハニ〜、バニラクリーム〜」

ロマニ「もう呪文詠唱さえ甘々だな、あの魔女さんは!」

メディアリリィ「カスタードベルホイップ〜!

レッツクッキ……じゃなくて、レッツサモン!

魔の痕跡から出でよ、深淵の同属よ!」

メディアリリィ「ご、ごめんなさいマスター!

しっぱいです、普通の悪魔が出てきました!」

マシュ「間違えたからです。

呪文を間違えたからです。

レッツクッキングとか言ったからです。」

メディアリリィ「言わないでマシュちゃん、反省してるから!

とりあえずこの人たちを追い返しましょう!」

(戦闘後)

メディアリリィ「ああ、びっくりしました。

みなさん、ご無事ですか?」

マシュ「はい、なんとか……

あんなにあっさり召喚された悪魔に倒されるワケにはいかないと言うか……」

ロマニ「おお。

マシュにもサーヴァントとしてのプライドが出来ていたんだね。

うん、いい事だ!」

マシュ「いえ、わたしに力を預けてくれた英霊に、ほんと、申し訳ないだけです。」

メディアリリィ「そうですね。

上級の霊体でしたが、あれではちょっと。

呪いの触媒には最適ですけど、今回は目的が違います。

では、気を取り直して今度こそ……

メイプルハニ〜、バニラクリーム〜

カスタードベルホイップ〜!

レッツサモン!

魔の痕跡から出でよ、深淵の同属よ!」

魔神柱「——誰ぞ。

我が同属の断末魔を寄る辺に、我を呼ぶは誰ぞ。」

マシュ「あわわ……

ほ、ほんとに出てきました!

どこまで優秀なんですかリリィさん!?」

メディア「はいはい、私です!

女神ヘカテーの一番弟子、メディアが貴方を召喚しました!」

魔神柱「——ほう。神霊に連なるものか。

ならば認めよう。

汝に呼ばれた我を認めよう。

我は七十二柱の魔術が一柱、ハーゲンティ。

水を富に、富を水に替えるもの。

女神の希望よ。

貴様の望みを語れ。

人の絶滅か。人の衰退か。人の隷属か。

邪な望みを言え。

淫らな望みを言え。

聞くに堪えぬ呪いの言葉を捧げるがいい!」

メディア「はい!

貴方を倒して、貴方の魔力因子をいただきます!

率直にいって、私の料理の材料になってもらいます!」

魔神柱「うむ、よい、よい言葉だ、人への呪いに満ちて——

————なんです?」

メディアリリィ「さあ皆さん、今こそ真の力を発揮する時!

パンケーキのために頑張りましょう!」

(戦闘後)

メディアリリィ「やりました!

魔神柱を構成する霊核を破壊、あとはこの膨大な魔力を変換するだけです!」

魔神柱「コンナ——コンナ悪夢バカナァァアアア!」

メディアリリィ「小さくなぁーれ、小さくなぁーれ……

ボウルで跳ねる小麦粉みたいに小さくなぁーれ……」

魔神柱「ガアァアアアアアーー!

ガアアァアアアーー!」

メディアリリィ「ぺったん、ぺったん、メイプルぺったん……

スプーンひとさじ、苺みたいに小さくなぁーれ……」

(調理後)

メディアリリィ「やりました、調理完了です!

これで夢のパンケーキが作れます、マスター!」

「いまの魔神柱が材料……なんだよね?」

メディアリリィ「?

はい、そうですが?

極限まで攪拌して、濾過して、練り直した魔素ですから、もう別のものですが。

あ。それとも魔神柱味のケーキを食べたかったとか……?

ご、ごめんなさい、気がつかないで……!

い、急いでもう一柱召喚しますね!

あわわ、因果が消えかけてる、まだ間に合うかしら……!?」

マシュ「い、いえ、もう魔神柱は結構です!

リリィさんのパンケーキ、早く食べたいです!」

メディアリリィ「まあ。

それなら良かった、あとはもういつも通りに調理するだけですよ。

それでは、しばしお時間を。

期待して待っていてください、藤丸さん。

日頃の感謝の気持ちとして、極上のケーキをお届けしますね♡」

ロマニ「……ぽん、と煙のように消えちゃったな。

この時代のどこかに専用の台所を持ってるんだろう……

ボクは今になってイアソンの評価があがったよ……

あんなふわふわした女の子を、よくもまあ、あそこまで現実的な女性に変えられたもんだ……」

マシュ「メディア・リリィさんはどこまでも純真なんですね……

好きなことを、好きな人たちに伝えていく……

彼女の気持ちは、無条件の愛情なのだとわかりました。

可能であれば、あの無垢さは守り続けていたい。

マスター。

リリィさんの愛情に応えられるよう、わたしたちも頑張りましょう。」