できない、シータ。それだけは、絶対にできない。マスターの手を離すということはかつて僕がシータにやったことと同じことだ。今度は、離しちゃいけないんだ。

幕間の物語(男性鯖)

ラーマ「手加減をしない英雄、か……。

果たしてどのような者か。」

マシュ「大丈夫です。

カルナさんも、アルジュナさんも、当代きっての大英雄。

あの二人を乗り越えたんですよ、ラーマさんは。

自信を持って進みましょう。」

ラーマ「……うん、そうだな。

よし、誰が相手だろうと構うものか!

このラーマが、如何なる相手だろうと叩き潰そう!」

???「——ほう。

よくぞ吼えたものよ、雑種。」

ラーマ「な……!?」

ギル「何を驚くことがある。

貴様が我を此処に召喚したのだろう。

我が名はギルガメッシュ。

望み通り蹂躙してやろうではないか。

どのような者であれ、セイバーを相手にする戦いは興が乗るというものよ。」

ラーマ「く……英雄王ギルガメッシュ……!!

最後の最後で、これほどの難敵が……!」

ギル「フハハハハ!

難敵故の試練と思ったか?

否だ!

真の試練とはオレを倒すだけではない。

いや無論、最強たる我が敗北することなど有り得んが。」

ロマニ「(物凄い慢心が垣間見える……)」

ギル「強さ弱さを競う程度で、これから先の人理修復についていけるはずもあるまい。

現れよ!」

シータ「ラーマ様……

ラーマ様なのですか?」

ラーマ「…………その声は……まさか、シータなのか!?」

シータ「はい、その通りです。

ヴィシュヌ様のはからいで、この土地に再び召喚されたようです。」

ラーマ「良かった……!」

ギル「ハハハハハ、浮かれているようだなコサラの王。

なぜおまえの妃がこちら側にいると思う・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

「人質……?」

ギル「たわけ!

絶対に勝利する我が、何故人質を取らねばならぬ!」

シータ「ラーマ様、ヴィシュヌ様が私たちの呪いを解いてくださいました。

そう、もうこれから先はずっと共にいられるのです。」

ラーマ「何と……!?

そ、それはありがたいことだが……。

ありがたいことなのだが……。

シータ、どうして君はそちらにいる?」

シータ「ヴィシュヌ様は、呪いを解いただけではなく、私の願いも叶えてくださったのです。

ラーマ様が二度と傷つかないよう、永劫の戦いから抜け出せるようにと。

こちらにおいでください、ラーマ様。

人理修復は誰かに任せればいいのです。

綺羅星の如き英雄が集まっているなら、私たちだけは、平和と幸福を——」

ラーマ「…………。

つまり、マスターとの契約を切れば君と一緒にいられる、そう言いたいのか?」

シータ「はい、その通りです。」

ラーマ「…………。

わかっているんだ。

君が偽物だということは。

試練を乗り越えてもいないのに、そんな褒美が与えられる訳もない。」

ギル「ほう。」

シータ「でも、偽物だというのなら。

ラーマ様だって——」

ラーマ「サーヴァントと英霊の関係性云々という問題ではない。

君はそもそも、サーヴァントですらない。

……そう、わかっているんだよ。

わかっているのだから、当然これは拒絶する。

でも、なあ、でも……。

マスター……。」

「大丈夫……?」

ラーマ「親しい者を拒絶するのは、辛いな。

過去の余は、どうしてこんなことを——

無用な争いを避けるためとはいえ。

どうして——

こんなことをしてしまったのか。」

シータ「……そう。私を拒絶するのですね。」

ギル「…………。

(英霊としての格の我に劣ろうと、矜持を捨てるほど迷ってはおらぬか。小癪な小僧よ)」

シータ「できない、シータ。

それだけは、絶対にできない。

マスターの手を離すということはかつて僕がシータにやったことと同じことだ・・・・・

今度は、離しちゃいけないんだ。」

ギル「フッ、どうする妃よ。

貴様の夫はああ言っているが。」

シータ「私の愛を拒絶するなら、取り込むまでです……!

だって、それしか残されてないんだもの!」

(シータの形が崩れる)

ギル「……何と。」

マシュ「……あの、ギルガメッシュさんも驚いてませんか?」

ギル「フハハハハ!

何、人理が崩壊しているのだ。

こういう事態も起きよう。

さあ、小国の王よ。

我とこの怪物を相手に、最後の試練に挑むがいい!」

ラーマ「ああ、やるとも!

『羅刹を穿つ不滅』よ!

輝け……あの時のように!」

(戦闘後)

ギル「……ふん。ここまでか。

そちらも満身創痍だが、どうやら試練は乗り越えたらしいな。」

ラーマ「はぁ、はぁ、はぁ……。」

シータ「ラーマ……ねえ、ラーマ……。」

ラーマ「……次に……会うときは……君に……胸を張って……会うよ……。」

シータ「………………うん…………。

本物の……シータに……そう言ってあげれば、きっと……。」

ギル「まったく、夫婦喧嘩は槍兵ランサーも喰わないとはどこの諺だったか。」

マシュ「槍兵ランサー……?」

ギル「フン、こちらの話だ。

それよりも、これで試練は終了だ。

小国の若き王。

悩むのはいいが、あまり民の前では晒すなよ?

(姿を消す音)

ラーマ「試練……か。

確かにそうだな、この体の余は未熟で。

精神もきっと未熟だ。

偽物のシータにすら、あれほど動揺する始末ではな。

だが、マスター。

余は何度でも試練を潜り抜けてみせよう。

その度に、君やシータを守る強さが手に入るなら。

それはきっと、正しい行いだ。

さあ、マスター。

人理修復の旅はまだ続くぞ。」