御身こそは我が呪の源たる大蛇神の御子! 太古の蛇、或いは竜—— 遙かな時流れては伊吹大明神と祀られし、荒ぶる神たる八岐大蛇が一子! 伊吹童子殿!

幕間の物語(女性鯖)

千代女「…………蛇、蛇、蛇。蛇づくし!

ど、ど、どういうつもりにござるか!

よりにもよって斯様に蛇蛇蛇と、こ、これではまるで、拙者のことを……!」

「千代女さん、蛇苦手?」

千代女「そ、それは——」

酒呑「蛇、苦手なんとちゃう?」

千代女「!!」

酒呑「甲賀望月の千代女はん。

そないに呪を使いこなしてはるみたいやのに、ちぃっとも慣れてへんねやろ。

そら勿体ないわぁ。

せっかく先祖代々だぁいじに授かりもん継いできてなぁ。

蛇の幻くらいでそないにびくびくして——」

千代女「そ……それは……」

「待って。もしかして、千代女さんをいじめてる?」

酒呑「ふふ。

あんたはんは邪魔せんとき。

あんまし健気に囀られると、つい喰ろうてまうよって。

ほら、なあ。

人は苦手に克つんが大好きなんやないの?

——ああ、怖気がするわぁ。

うちなら嫌やわぁ。

でも千代女はんは人やし英霊さまやし?

苦手には克たんといけへんし、克ちたいと思うてはるやろ?」

千代女「わ、私は……

いえ拙者は!

蛇、など、恐れは……せず……

苦手など!

あろうはずもありませぬ!」

酒呑「なんや、せやったの?

そんなら気にしぃひんわぁ。

続けよか?

ほな、お互い手加減なしで思い切りやれてまうよねえ。

いいこと聞いたわぁ。」

千代女「…………。」

「千代女さん。嫌ならシミュレーター止めるよ」

千代女「ご、ご冗談を!

この千代女、蛇などとうに呑み込んで・・・・・おりますれば!」

酒呑「ほな。うちがいくけど…………——」

「千代女さん! 来るぞ、しっかり!」

千代女「望月千代女、主命を承りましてござる!」

(戦闘後)

千代女「蛇、蛇、蛇と…………!

しつこい!!!

拙者を……!

拙者を、ど、どうしたいのでござるかあなたは!

左様!

拙者は幼き頃より蛇が大の苦手・・・・・・にござる!

あなたには分かるまい!

分かろうはずもない!

おろちの呪を受けて生まれ落ちるという、この苦しみ!

かの蛇神の魂ひとたび荒ぶろうものなればこの身を鱗が覆い、我が身、一匹の蛇と成り果てる!

その日が来るのは今か……

それとも、明日か、その先か……

或いは我が身ではなく、死した後の我が子、孫、裔のいずれか……

このようにして生きる我が甲賀望月、おろちの巫女として生きねばならぬ我が家系!

人として死して後、影法師が如き仮初めの命として喚ばれてなおも残り続けるこの呪——

あなたに! 何が分かろうか!」

酒呑「んー。

なぁんも。わからへんわぁ。」

千代女「!!

ならば放っておいていただきたい!

拙者は、巡り巡って、新たなお館様を得た!

私を……! 忍びを……!

使い潰すべきものを使い潰そうともされぬ、二度とは仕えられぬであろう御方に巡り会えたのだ!

私は! 私は……!!

もっと忠義を尽くしたい!

もっともっとこの身を役立てたい!

最後の最後まで!

な・の・に!

どうして邪魔をするのよ!

あなたが!」

「千代女さん……」

千代女「かくも醜く叫ぶ千代女をお許しください、お館様!

もはや、もはや堪忍袋の緒が切れ申した!」

酒呑「はいはい、なあに?」

千代女「大江山の酒呑童子……

平安の鬼……

否!

拙者・・にとって御身は大江山の鬼なぞではない!

御身こそは我が呪の源たる大蛇神の御子!

太古の蛇、或いは竜——

遙かな時流れては伊吹大明神と祀られし、荒ぶる神たる八岐大蛇が一子!

伊吹童子・・・・殿!」

酒呑「……………………その真名で呼んでみせるか、千代女。

ふうん。へえ?

そないに?

うんうん、ええ度胸やわぁ——

ようやっと期待通りの……

期待以上の言の葉やないの。

こういうの、東の方じゃくそ度胸ていわはるんやろ?

好きやわぁ。

うん、うん。

そないに震えてまぁ……

ぴぃんと足突っ張って、ふるふる震えて、幼子が背伸びしてはるみたいで健気やわぁ。

そないに旦那はんが大事なん?

お仕えしたくて、もう辛抱たまらへん感じなん?」

千代女「…………然り。」

酒呑「ほな——

浮気しはるん?

やもめいうたかて、なぁ。」

千代女「ち、ち、忠義と思慕は別物にござる!」

酒呑「へえそう。

そんなら、しとねを共に、て言われたらどないするん?」

千代女「務めとあらば共にするまでにござる!」

酒呑「ほな浮気しはるん?」

千代女「ち、忠義と思慕は別物にござる!

否、否、それ以上の言葉はお館様への愚弄と取る!

如何に、如何に伊吹の御子とて……

我が祖・甲賀三郎の……

呪われし血が……如何に……拙者の躯を苛もうとも!

それ以上は!

口開くならば、お覚悟召されよ!

——童子殿!」

(戦闘後)

千代女「はあ、はあ……はあ…………!

なん、という……無尽蔵とさえ思える、魔力……!

はあ、はあ……

ぜえっ……忍びの、息が、上がるとは……

これが鬼種——

否、おろちの御子たる酒呑童子殿の底力か!!

……………………ほんの指先一本、とでも言いたげな。

拙者は全力を出しているというのに。

恐るべきは鬼か、蛇か。

ですが……

まだ……まだ……

…………千代女は、最後まで刃を構える覚悟にて!」

「もういいよ、千代女さん! 両者ストップ!」

酒呑「ええ気迫やないの。

鬼、殺すんにはまだまだ足りひんけど。

軒先くらいには立ったんとちゃう?

…………満足や。

はい降参。うちの負け。

ほな帰ろ帰ろ。」

千代女「………………………………………………はい?」