騎士たる者、主君に刃を向けることすら、時に忠義であるのだと。まして自身を破壊の化身と称するのであれば! それは最早、我が主ではない!

幕間の物語(男性鯖)

シェイクスピア「……というところで、さあそろそろ本命に近付いてきましたぞ!」

ランスロット「本命……だと?」

シェイクスピア「ええ、ええ。

本命ですとも。

異邦にして最後の騎士、円卓の分割者、サー・ランスロット!

あなたが戦うべき相手は、この雷霆の向こう側に!」

ランスロット「馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な!

何故……何故こんな場所に、貴女・・がいらっしゃるのです!?」

アルトリア「知れたこと。

私は破壊の化身、崩壊の側面を以て現界したサーヴァント。

この営みを破壊する・・・・・・・・・

最果てにて輝く聖槍を以て、一切合切を雷雲に呑み込ませよう。」

ランスロット「……させる訳にはいきません。」

アルトリア「何故だ、円卓の騎士。

この私では名前すら掠れて思い出せないが——

それでも、貴様がかつて私に仕えていた事は分かる。

ならば我が意を汲み、我が理に倣い、我が言に従え。

それが忠義というものだ。」

ランスロット「——否、です。

私はかつて方法を違えてしまったが、それでもあの想いは間違っていないと信じている。

騎士たる者、主君に刃を向けることすら、時に忠義であるのだと。

まして自身を破壊の化身と称するのであれば!

それは最早、我が主ではない!

貴女が嵐の王ワイルドハントであるなら、私は——

沈黙の刃を以て嵐に立ち向かう、湖の騎士である!」

アルトリア「よく回る舌だ。

その聖剣もまたよく回るのだろう。

——そうであれば、敵として文句はない。

来たれ死霊共。

この魔都を、真の姿たる死の都に変えるがいい!」

(戦闘後)

アルトリア「……明けない夜がないように、終わらぬ嵐はない。

所詮は残滓。

ここが最果てでなければ、傷跡を残して消え去るのみだったが——」

ランスロット「王よ、貴女は——」

アルトリア「語るな、円卓の騎士。

この姿は貴様の知る姿ではあるまい。

この聖槍の輝きが私をサーヴァントたらしめているだけ。

ましてその残滓に過ぎない。

貴様が平伏するには当たらぬ。」

ランスロット「……どのようなお姿であれ、目が覚めた貴女は我が王です。」

アルトリア「いや、覚めてなどいない。

ただ少しだけ、思い出したモノがあった。

かつての平原は既に亡く、守ろうとした民もいない。

だが、それでも少しだけ感じ取れる。

この街に根付いた、営みの欠片が。

この土地にかつてあり、今も眠る——

理想の都市を目指した、夢の名残が。」

ランスロット「……これが劇作家の導きでなければ、この運命を喜び、あるいは嘆くことができたものを。

シェイクスピア、おまえの仕業か?」

シェイクスピア「ははははは、まさか!

幾ら吾輩でも、かの騎士王をあそこまで見事に顕現させることなど、できはしません。

ただまあ、残滓でありながら顕現を遂げた彼女がロンドンを破壊し、そして消滅するというのは——

夢見が悪かったので・・・・・・・・・

吾輩が知る限り、もっとも有能な騎士を連れてこなければ、という使命感に駆られたのですよ。

いやまあ、不思議なことに見た夢は綺麗さっぱり忘れてしまったのですが!」

「ランスロットは最高の騎士だ!」

ランスロット「マスター……。

ありがとう、その言葉は一生の宝物です。

どれほどの苦境に陥ろうとも、その言葉一つで私が挫けることはありますまい。」

シェイクスピア「まあ、もっとも有能な騎士がよりによって、フランス人なのは多少かなりスゲえ癪に障りますが!

吾輩、国家間の問題は現代の知識も手伝ってかなりのリベラルを是認しているので。

なのでそちらに紹介された当初は『粗野』とか『残酷』だとか。

言われたことも含めて和やかに許しますぞー!」

ランスロット「それ私にはまったくもって関係ないな!?」

シェイクスピア「まったくもって八つ当たりですなぁ!

ま、現在のフランスならば吾輩の良さもよく知られているでしょうし、問題ないのですが……。

作家の怨みは根深いものなのです!」

シェイクスピア「というか夢見が悪いと言ったな、シェイクスピア。

ふむ……まさか……。」

「どしたの?」

ランスロット「いえ、見知った顔を思い出しただけです。

極めて頼りになるが、色々とやらかす魔術師。

……あの男の仕業であるなら仕方がない・・・・・

まったくもって忌々しいが受け入れましょう。

何しろあれは、鰻のようにつかみ所のない男でしたから。

彼に向かって厳然と命令を与えることができたのは、我らが王くらいのものでしょう。

……なるほど、動くはずです。」

「あー……」

???「んー、精神的風邪ってヤツかな?

それとも何処かで誰かに噂でもされたのか。

まあ、どうあれ面倒ごとはこれで終わりかな?

かくして湖の騎士の労働でロンディニウムに残った影は消え去り、彼が円卓に残した借りもこれで帳消しにしておくとも。

うん、すべて世はこともなし。

めでたし、めでたし。」