お、おおーっ!! こ、皇帝陛下がお歌いになられるぞーっ!! 有り難い、ありがたくはあるが耐えろーっ!! 気を抜けば持って行かれるぞッ!!

幕間の物語(男性鯖)

ネロ「うむ、うむ!

今日も余のローマは賑わいに満ちているな!

かの連合帝国の脅威も今は既になく、余のローマ、愛するローマ市民には笑顔が戻った。

実に喜ばしいことだ。

余はすこぶる機嫌が良い。

そうとも——

藤丸とマシュに二度と会えぬのは寂しくも思うが、余はローマ皇帝であるからな!

市民たちの笑顔あればこそ、余は無限の愛を以てローマに君臨し、統治するのみ!

我が才は限りなく、愛もまた同じく。

薔薇の喝采は首都ローマに絶えず響くであろう!

余は楽しい!

今日は如何なる歌を謳おうか?」

ローマ市民「ああっ、あそこにおられるは皇帝陛下!

アポロンの如き輝き、ヴィーナスが如き美しさ!

皇帝万歳!

ネロ・クラウディウス陛下万歳!」

ネロ「うむうむ。

良いぞ、喝采を許す!

ひとつだけ付け加えるならそうだな、余はミューズが如き芸術の才にも溢れているぞ?

ならば謳おう!

童女よこれへ、花を持て!

インペリウムの誉れは此処に!

首都の、いいやローマの全土に余の美声を響かせよう!」

ローマ市民「お、おおーっ!!

こ、皇帝陛下がお歌いになられるぞーっ!!

有り難い、ありがたくはあるが耐えろーっ!!

気を抜けば持って行かれるぞッ!!」

ネロ「ふふ、道行く人々ですらこのノリの良さだ!

余は楽しい、これこそがローマであるな!」

(リサイタル後)

ネロ「……ふう。

よき歌の時間リサイタルであった。

しかし、駆け付けていた楽団の者たち、ちと演奏の音が大き過ぎはしなかったか??

あれでは余の美声が掻き消されてしまって、肝心の歌が市民たちに届き難かったのではないか?

余の前で張り切るのは仕方ないが、楽団の者たちには些か我慢を覚えてもらわねばな。

さてと、午前中は歌に費やしてしまった。

午後は政務に励むとしよう——」

ブッルス「皇帝陛下。

畏れながら申し上げる。」

ネロ「おお、我が騎士ブッルス。

如何した?」

ブッルス「連合帝国に支配されていた各属州より、生死不明であった総督や長官から連絡が届いております。

ご多忙の所、申し訳ありません。

書簡にお目を通して戴ければ幸いであります。」

ネロ「うむ、ブッルス。

そなたのもたらしたものは吉報に他ならぬぞ!

臣下たちの書簡をこれへ持て。

あれらの安否は余も気に懸けておったところだ。

(……マシュたちの言葉が正しければ、偽りの連合帝国にまつわる事柄のすべて、いずれ影も形も消えてゆくのであろうな。

だが、うむ。今はいい。

書簡に目を通すべきだ。

余の愛する臣下たち。

如何にして、苛烈な連合より生き延びたのか。

目にするべきであろう。

余は、既に、母さえこの手に掛けた身——

余は、皇帝として在り続けるのみだ。

余の愛は、きっと、臣下や市民たちに届くはず。

……そうであろう、真祖ロムルス)」

ブッルス「——陛下?」

ネロ「すまぬ、少し歌い疲れてしまったようだ。

だが案ずることはない。

書簡をこれへ。

総督たちの言葉、間違いなく聞き届けようぞ!」

セネカ「……皇帝陛下。

些か、ご無理が過ぎるのではありませんか。

既に夜も更けております。

お早く、寝所でお休みになるべきでしょう。」

ネロ「ん、セネカか。

ふふ。そう言ってくれるな。

滞っていた政務が山ほどあるのだ。

余が二、三人もいればさほど時を掛けずに済むが。

そういう訳にもいかぬ。

余はローマにただひとりであるのだからな!

ふふ。だが、良い。

そなたがそう言ってくれるのは嬉しいぞ。

かつて、母が存命の頃は——」

セネカ「陛下。」

ネロ「ん……。

いや、すまぬ。今のは忘れよ。

気付けば、いつもの頭痛もぶり返してきた。

これでは政務に勤しむのもままならん。

確かに、余は些か疲れているらしい。

そろそろ休むぞ。

……添い寝を頼めるか、家庭教師どの?」

セネカ「お戯れを。

しかし、お気を変えて下さって良かった。

どうかお休みください。

我らがローマ皇帝、貴女は世界にただひとり。

ご無理は禁物です。

貴女のご無理は、ローマの無理にも繋がりましょう。」

ネロ「うむ。そうであろうな——」