マスターも努々忘れぬことだ。本当に恐ろしいのはいかなる道にせよ、極め、達したものという事をな。

幕間の物語(男性鯖)

ダヴィンチ「うーん。

“神槍”李書文の訓練って聞いたからどんな荒行かと思ったけど……

なんというか、意外と地味だね……。」

マシュ「し、失礼ですよ、ダ・ヴィンチちゃん。」

フォウ「フォウ!」

李書文「呵々! うむ、確かに地味よな。」

マシュ「認めちゃうんですか!?」

李書文「なに、一の技に磨きをかけるが儂の取り柄。

つまるところ、心の臓を突くなり抉るなりすれば人は死ぬ、呆気もなくな。

……まあ、サーヴァントになって以降はそうもいかぬが、霊核しんぞうを壊せば死ぬことに変わりはない。

さすがにサーヴァントになってから新技を覚えるなど、回り道にも程がある。

それよりは一の技を磨いた方が、少しは役に立つだろう。」

マシュ「百の技より一つの技を極限まで磨き上げる……。

確かにそういう達人が、サーヴァントには多いですね。

王様になるとあらゆる武芸を修めた、という方が多いですが……。」

ダヴィンチ「王様になるとまた立場が違うからね。

達人は状況を選ぶことから始めるが、王になると状況を選べないことが多い。」

李書文「その通りだな。

ラーマもよく零していたよ。

『余は弓の方が得意なのだが……。

最優がセイバーならば、王としては最優を選ばなければな』と。」

マシュ「何故でしょうか。

アーチャーでもライダーでも王様はいらっしゃいますが……。」

ダヴィンチ「あーダメダメ。

あれはアーチャーというより、クラス・ギルガメッシュだから。

征服王は『人の上に立つ』という意味合いでのライダーなのかもね。

それと似たような位置づけで女王メイヴ……の話は遠慮しておこう。

マシュの教育にも悪そうだしね!」

マシュ「ところでラーマさんがセイバーを選んだ理由は、本当に最優だからなのでしょうか。」

ダヴィンチ「いやいや、ロマンチストなんだよ彼は。

……おっと、話がズレたな。」

李書文「よし、マスター。

鍛錬に付き合って貰って悪かったな。

休憩ついでに、街に出るとしよう。」

(中略)

高名な武術家の弟子「ああっ、師匠が7つの穴から血を垂れ流して倒した!

ひ、人でなしー!」

李書文「……こんなものか。

無駄骨を折らせおって。」

マシュ「見事な1撃でした。」

「お美事!」

李書文「うむ、八極拳の教えでは、というかこれは儂の考えだが

“千招を知るを恐れず、一招に熟するを恐れよ”

千の技を持つものよりも一つの技を極めたものをこそ恐れよ、ということだ。」

マシュ「なるほど、だから書文先生はああして同じ技を繰り返し練習するんですね。

英霊の逸話を昇華させた宝具にも通じるところがあります。」

李書文「マスターも努々忘れぬことだ。

本当に恐ろしいのはいかなる道にせよ、極め、達したものという事をな。」

「肝に銘じます」

李書文「ははは、さて。

それでは茶でも……

いや、この大陸ならば酒か……?

どちらも飲むのは苦手だが、行くとするか。」