どうなってかは知らんが、確かに助けを求める声がこの耳に届いた。だから悪いな、茨木童子。オレは今からアンタを座へ叩き返すしかねぇ。

幕間の物語(男性鯖)

茨木「…………誰だ、汝らは…………

この御山は吾のものである。

許しもなく立ち入ればどうなるか、分かっていような。

その肉、引き裂き喰らう。

その骨、しゃぶり尽くした後に打ち捨てる。

吾は御山のあるじ。

此処に、原初の盗賊団を率いらんとするモノであるぞ!」

「イバラギン!! まさかギルガメッシュに召喚されたまま……」

小太郎「あれは……!

茨木童子、ギルガメッシュ王の召喚した七騎のひとつ!

第七特異点についてのカルデアの記録によれば彼女は行方をくらましたとありましたが、まさか……!」

茨木「何だ——

あのいけすかない王の知己か、汝ら!

いや、うむ?

貴様、赤目の坊主ではないか。

やはり吾の下につく事にしたのか?

はは、そうだろう、そうだろうとも!

あのような貧弱な王より、吾の方が仕え甲斐があるというもの!

巴は怖ろしかったが汝であれば合格よ。

異邦の鬼として、共に怪異を示そうではないか!」

小太郎「……いえ。

言いにくいのですが初対面です。

『僕』は貴方が知っている『僕』とは別人です。」

茨木「なに?

……むむ。

言われてみれば匂いが違うな?

……亡霊のようなものか……

まあよい。

繰り返すが、吾は誰の指図も受けぬ!

吾は鬼、御山のあるじ!

汝らの王に伝えるがいい、此処に鬼の王が立つと!」

金時「ウルクの王なんざもういねえよ。

己が役目を果たして死んだって話だ。

引き際で、見事に退いた。

テメエは……ま、そうだろうよ。

人類史なんか知ったこっちゃねぇ。

英雄王との絆なんざ結んじゃいねえだろうから、こうなりゃ本気でテメエにとっちゃ義理も何もない。

となれば、後は鬼として生き抜くのみ。

それはそれで、正しいのかもしれねえが、な——

いつまでも他所の御山に居座ってるンじゃあねえ!

テメエは大江山の鬼、荒ぶるとおほむらだろうがよ!」

茨木「な、何だ!?

なぜ吾を知った風な口をきく……」

金時「ソッチは知らなくてもコッチは知ってンだよ莫迦!」

酒呑「まあ、まあ。

あれはあれで真っ直ぐなんよ、そないに責めんといて。

なあ、茨木。

——他所の御山はそないに楽しいん?」

茨木「その姿、その声……

もしや酒呑、酒呑童子か!?

なにゆえ姿を見せた!

これは幻か、夢か……

いや。いや。

見ればそこな大男にも見覚えが……

目元を何やら色の付いた板で隠してはいるが……

その金髪、人にしておくには惜しい野太い腕は、貴様!」

「そうか、牛若丸や弁慶やレオニダスと同じで、カルデアの記憶がないのか!」

マシュ「はい、そのようです。

特異点におけるサーヴァントがどのように記憶を保持しているかについては、目下、スタッフが研究中の事項ではありますが、現在の彼女にはカルデア関係の記憶がないようです!」

金時「それでも、だ。

袖すり合うも多生の縁ってもんだ!

見知った顔がやらかす不始末!

流石に、はいそうですかと見逃せる訳もねぇと来る!」

茨木「……な、何!?」

金時「テメエはただ生きようとしただけだ、何も悪かねぇ。

オレだって、同じ状況ならどうするか。

だが、いつまでも其処に居座られると、な。

よくねぇんだよ。

たとえば人類史ってのが水面なら、今のテメエはそこに放り投げられた小石だろうさ。

小石が落ちた水面が巡り巡ってどうなるか。

跳ねる雫のひとつひとつは、人だ。

何があるかは正直分からねぇ。

泣く奴もいるだろうし、場合によっちゃ笑う奴もいるさ。

それでもな——

傷付かなくてもいい奴が傷付いちまう可能性もある……」

酒呑「……………………。」

金時「……いいや、傷付く。

どこかで傷付いて悲鳴を上げる。

そうさ、誰かが確かにオレを呼んだ。

聞こえちまったんだよ。

何がどうなってかは知らんが、確かに、助けを求める声がこの耳に届いた。

だから悪いな、茨木童子。

オレは今からアンタを座へ叩き返すしかねぇ。」

茨木「分からぬ、分からぬ、分からぬ!

汝が何を言っているのか、さっぱり分からぬ!

声が聞こえた?

何がそれは、吾には何も聞こえて来ぬわ!

だが、ああ……

ひとつ明らかな事があるぞ。

坂田金時。

汝を此処で見事くびり殺してしまえば、其処に立つ酒呑の目を覚ましてやれよう。

いいな。それは、とても佳い!

——礼を言うぞ、金時。

此処へ友を送ってくれて!

汝らのことごとくを殺し尽くし、吾は、再び、酒呑と共に新たなる大江山を造る!」

小太郎「茨木童子、接近!」

マシュ「先輩、気を付けてください!

そこにいるのは茨木童子さん一人だけではありません!」

金時「ハッ!

神代の魔獣やら何やらか!

相手にとって不足なし、やってやろうぜマスター!

天魔を制し、夜叉を殴り!

——彼方に輝くマサカリ・ゴールデン!

ゴールデンにフルバーストでキメてやる!!

坂田金時の鬼退治、ってな!」