人のカタチをした、魂の採集装置。神々の自動人形。氷よりも冷ややかな表情で、視線で、これと決めた勇士を見つめて、静かに静かに忍び寄る。

幕間の物語(女性鯖)

雪山の記録。

地上から見た真っ白な景色をよく覚えている。

空からのモノもそうだ。

過去の私は地をさすらい、空を舞っていた。

父たる大神オーディンの命じるままに、定められた行動原理に従って勇士の魂を集めていたのだ。

勇士。勇者。英雄。

——自らが傷付こうとも誰かのために戦える者達。

私は彼らに近付いて、導き、時に勝利を与えながら、最後には必ず死へと旅立たせた。

それが私。

戦乙女ワルキューレであった頃の私。

大神がお作りになられたからくり仕掛け・・・・・・・の娘達。

人のカタチをした、魂の採集装置。

神々の自動人形。

氷よりも冷ややかな表情で、視線で、これと決めた勇士を見つめて、静かに静かに忍び寄る。

私は——

ブリュンヒルデ「氷。私は氷。

そういう風に振る舞える。

……鎮まろう。鎮まれ。

私は、燃え上がらない。

炎はいけない。

炎になれば、私は……

いつか、マスターを焼き殺してしまうでしょう。

それだけは。駄目。

ん——」

意識していない。

本当に、そうしようとは微塵も思考しなかった。

なのに——

ブリュンヒルデ「何……?

だめ……どうして、こんな風に……私……昂ぶっては……

燃え上がってはいけないのに……

…………そんな。」

自動再生が始まっていた。

駄目、止められない。

何重にも保護を掛けておいたのに。

ブリュンヒルデ「…………!」

痛い。痛い。痛い。

自動再生されていく記録の断片が、私の胸を刺す。

愛する人。

シグルド。

巌のような戦士。

それなのに優しい横顔。

叡智の結晶に覆われた視線。

愛しい唇。

私だけの勇士シグルド

私だけの勇士シグルド

私だけの勇士シグルド

幾星霜を経ようとも消えはしない、私の、永遠のあなた。

…………ああ、駄目。いけない。

熱い。炎になる!

ヒンダルフィヨルの山で彼と出会った後の記録を再生してはいけない。やめて!

私、鎮めるためにこうしているのに。

冷たく——

雪のように、氷のようにならないと。

滅びの巨狼フェンリルの息吹もかくやの冷たさを、どうか、私の胸の裡にください。父よ。

私はサーヴァント。

私は藤丸に仕えるランサー。

二度と炎になってはいけない、壊れた戦乙女。