降霊魔術、俗に言う召喚術の中でも別格の難度とされている。低位の魔術や亡霊の召喚とはまさしく格が違う。稀有であり、脅威の存在なんだ。英霊は。

幕間の物語(女性鯖)

ダヴィンチ「成る程ね。

それで、彼女自身が休養を申し出てきた訳だ。

確かに珍しい事かもしれないねえ。

サーヴァントは超常の存在であると同時に、人間のような精神を有した存在だ。

常人を遥かに超えて、絶対性とも言うべき耐久度を誇ってはいるけれど、時には疲弊や消耗が表に出てきてしまう事もあるだろう。

ほら、特に彼女はあれだろう?

最近はあんまりシグルドシグルド言わないようにしてるみたいだし……

そのあたりが関係しているのかもしれない。

我慢しすぎは体に毒、という事だったりするのかも?」

「あれ、そう?」

ダヴィンチ「比較的って話さ。

相対的と言った方がわかりやすいかな?」

マシュ「わたしが経験したのは、デミ・サーヴァントとしての活動によるものですから、少し違うかもしれませんが……

特異点へのレイシフトを繰り返す中でも、適宜、お休みをいただけたのはとても嬉しかったです。

先輩とお話しをして、一緒に食事をして——

ドクターのいつもの検診を受けながら世間話もしたりして……

そんな風に過ごす時間は……

魔力やバイタルの直接的な数値にはどのくらい影響があったかはわかりませんが、わたしには、とても大切なものに感じられました。

ですから——」

「うん、休息は大切だ。サーヴァントの皆にも休んでもらわなきゃね」

マシュ「はい、先輩。」

ダヴィンチ「彼女、今はマイルームで休んでいるんだっけ?」

マシュ「はい。少し前から。

レイシフトからの帰還後、すぐに個室へ戻られました。」

ホームズ「話は聞かせてもらったよ。

ふむ。

一度、メンテナンスをした方がいいのかもしれないな。」

ダヴィンチ「英霊にだって休みは必要だという流れを無視しての風情のない言葉!

流石だねえ名探偵。

まあでも、うん。

ホームズの言うのも一理ある。

北欧神話に於ける最高存在、大神オーディンによって生み出された彼女ブリュンヒルデの霊基は英霊としても特殊なものだ。

今でこそ英霊としての格に収まってくれてはいるけど、本来は半分神霊のようなものだからね。

言ってしまえば、その現界自体が奇跡に対する奇跡の上乗せ——みたいなものなんだぜ?」

マシュ「奇跡の上乗せ……」

「でも神霊ってそこそこいませんか……?」

マシュ「はい。

比率で言えば多くはありませんが……」

ダヴィンチ「ソレがそもそも奇跡なんだ。

まあ、それを言うならカルデア召喚式による英霊召喚も稀有なものなんだけど。」

ホームズ「——そうとも。

何せ、かのゴーストライナー・・・・・・・・だからね!

境界記録帯ゴーストライナー

人理に紐付けられた英霊なる上位霊格、その恐るべき力の一部を瞬間的に借り受ける術式でさえ、たとえば時計塔に於ける分類で言うところの降霊魔術、俗に言う召喚術の中でも別格の難度とされている。

低位の魔術や亡霊の召喚とはまさしく格が違う。

稀有であり、脅威の存在なんだ。英霊は。

そんなものにあろうことかエーテルによる実体を伴わせ、肉体と、生前に近しい人格まで与えて現界させる——

これを奇跡と言わずして、さあ、何と呼ぼう?」

ダヴィンチ「……いやはや、詳しいねえミスター・ホームズ。」

ホームズ「いやいや。詳しいだけさ、私はね。」

ダヴィンチ「否定しないんだなあ……

相変わらずだねえホント、キミっていう男はさ。

まあ、混ぜ返されかけたけど話を戻そうか。

あー、つまりね、ブリュンヒルデはカルデアでも稀有な存在だ。

何かにつけて気に掛けてあげるのは悪くない。

それが良いマスターというものだろう。

あとはまあ、霊基のメンテナンスもしておこう。

前回の定期検査では特に異常は見当たらなかったけど……」

(扉の開く音)

???「フォッフォッフォッ。

お困りのようじゃな?」

マシュ「そ、その声は!」

「アルテラサン(タ)!」

アルテラ「そうじゃよ、ワシじゃよ。

フォッフォッフォッ。

通りすがりのサンタクロースじゃ。」