きみを援助してきたのも、すべて、すべて、ただの善意から出た訳ではないんだよ。フローレンス。私は、ずっと前から…きみを——

幕間の物語(女性鯖)

婦長「戦場における医療物資についてのお話でしたね。

シドニー、貴方の助力が私には必要です。」

シドニー・ハーバート「ああ、フローレンス。フローレンス!

まったく違う!

ここを何処だと思っているんだい!

ロンドンだ!

大英帝国の首都だ!

きみはもう、あの戦場にいる訳ではないだろう。

きみの心は未だあそこに在るままなのだ。

その姿は何だ。

もはや軍属でもないきみが、陸軍の、しかも制式の軍服を着ているだなんて——

あそこで何があったのかを問い詰めはしないが、しかし此処はロンドンなんだ。フローレンス。

その在り方は間違っている。

分かるかい。」

婦長「……この姿は。

そうですね、奇妙な姿かもしれない。

けれど、私は戦っているのです。

兵士たちと変わらず。

この地上に溢れ出るあらゆる傷病と戦い続ける私には、ええ、このように何かと戦うための姿こそ相応しい。」

シドニー「戦い続ける……」

婦長「はい。」

シドニー「ああ……

そんな風に生きるのはやめてくれ、フローレンス。

お願いだ。

きみがクリミアの天使であったのは過去のことで、もう、きみが戦い続ける必要はないんだよ。

自分自身の人生を見つめ直すべきだ。

きみは……

そう、結局、結婚だってしないまま……」

婦長「シドニー?

おかしなことを仰いますね。

人間はひとりでは結婚できませんでしょうに。」

シドニー「……そういう言い方は維持が悪すぎるよ。

いい加減、気付かぬふりはやめてくれ。

私はすべてきみのために……

きみを援助してきたのも、すべて、すべて、ただの善意から出た訳ではないんだよ。フローレンス。

私は、ずっと前から……

きみを——」

嘘だ。

これは嘘だ。

我が友シドニー・ハーバートには細君が有ったのだから、こんなやり取りはなかった。なかった筈だ。

いや。それ以前に。

私が、一個人から愛を告白を受ける等とは——

声「成る程な。

常々、おまえの在り方はいびつだと感じてはいたが、遂に自らの欺瞞に亀裂が入り始めたという訳か。

クク。

それはそれで面白い。

——だが、破綻と自滅は許さんぞ。」

(起き上がる婦長)

婦長「趣味が悪いですね。

貴方は。

無言のまま、そうして女の寝顔を覗き込むとは。」

巌窟王「多くの場合、サーヴァントが睡眠を得ることはない。

夢を見ることもない。

ならばおまえのそれは霊基の異常に他ならない。」

婦長「…………。」

巌窟王「カルデアのサーヴァントは概ねマスターに繋がっている。

ならばそう、混線の類も時には起こるだろうよ。」

婦長「どの口で言うのだか。」

巌窟王「以前にも、似たようなことがあっただろう。」

婦長「あれは私ではなく藤丸が……

はい。ありました。」

巌窟王「素直だな。」

婦長「状態は明らかです。

否定しても意味はない。

…………私はおそらく、精神を負傷しています。」