常人は、強烈な戦闘衝動を心に留め置き続けられまいが、バーサーカー。狂戦士。奴らは違う。その分、積もり積もってゆくものも——

幕間の物語(女性鯖)

シドニー・ハーバート「ああ、きみ!

丁度いいところに来てくれた!

藤丸君!

きみからも言ってくれたまえよ。

私の言葉はどうにも届かないかもしれないが、同じ職場の同僚であるきみの言葉ならフローレンスも受け入れてくれるかもしれない。

さあ! 頼むよ!」

婦長「…………。」

「ち、ちょっと待った!」

巌窟王「本来であればおまえの見る夢として顕れるはずのモノ。

あれの心象だろうさ。」

「ナイチンゲールの——」

巌窟王「そうだ。」

シドニー「突然ぼうっとしたりして、一体どうしたんだい?

藤丸君?

頼むよ。フローレンスに言ってやってくれ。

彼女はこのあたりで長い休みをとって、生活に戻るべきなんだ。

せっかく戦地から戻ったというのに、彼女は戦い続けているんだよ。

あれでは体に障る。」

「え、ええと。どなた、でしたっけ……」

巌窟王「ソレは誰でもない。

いいか、そもそもからしてこの女はバーサーカーだ。

理性の多くを封じた状態で現界する。

常人は、強烈な戦闘衝動を心に留め置き続けられまいが、バーサーカー。狂戦士。

奴らは違う。

その分、積もり積もってゆくものも——

奥底に溜まっていくものもあるのだろうさ。

特に……

まるで理性有するが如く言葉を放つ者・・・・・・・・・・・・・・・・・はな!」

婦長「…………。」

巌窟王「ねじれ、軋み、歪んでいるのだ。

時にはそれが澱みとなって湧き上がることもある。

万象を灼き尽くすかの如き怒りの炎として、破壊衝動の顕れたる怪物として——

或いは、そう、旧き友の姿をとる理性の具現・・・・・として!」

シドニー「彼女はもう休むべきだ。

これ以上の無理をさせちゃいけない。

負荷を掛け続けてまですることか?

少し考えれば分かるようなものじゃないか、フローレンス。

きみもそう思うだろう、藤丸君!?」

「そうかもしれない」

シドニー「そうだろう。そうだろう!

なら、今すぐに——」

「でも、今じゃない」

シドニー「なに……?」

「最後まで、ナイチンゲールと一緒に戦いたい」

シドニー「何……!」

婦長「…………。

……貴方はそう言うのですね、藤丸。

いいでしょう。要請を受諾。

引き続き、私は戦場を駆ける。

すべての命を救うために。

私は、たとえ暴力を用いてでも誰かを救い続けよう。

まったく。

私も私なら、司令官も司令官ということですか。

私と共に戦場に在り続けようなどというその精神、決して健全とは言えないでしょう。

いずれ治療します。」

「その時は、よろしく」

巌窟王「姿が変わったな。

悪くない。」

婦長「そうですね。

髪を解いてしまったのは本意ではありませんが、今の私には相応しくもあるでしょう。

バーサーカー……

狂える戦士としての私であれば。

これが私です。

我が身が傷付こうとも命を救う、髪振り乱す狂女。

これこそが今の私のカタチであるのでしょう。

では司令官。マスター。

少し、付き合っていただきます。

私の中であれこれと言ってくる理性の欠片——

旧友に擬態した免疫もどきを、一時切除します。」

「付き合うよ!」

婦長「はい。では——」