ギャラハッド召喚によるマシュの暴走【FGO考察SS】

FGO考察SS

なんだこれは……

ひどく冷たい氷に触れているはずなのに、その冷たさを感じられない。

不気味だ。

しかし似たようなものを、僕は知っている。

あれは終わりの円卓。

我が王が置かれていたであろう状況に。

目指すものは全員が共にしている筈なのに、進む道がことごとく衝突していた。

その矛盾の泥を、最後は一人で受けられた。

王を救うべき忠義が、滅びの凶器となってしまった。

全てを護るために抱えた孤独は、全てが滅びた絶望へと変わった。

だが……

この氷はそれとは別のものだ。

王は他に選べる道がなかったとしても、それしか選べない自身を理解して進んだのだ。

だからこそ誰よりも気高く、眩しかった。

しかしこの人生はなんだ。

選択肢など最初から用意されていない。

そして……

これが最も哀しいことだが。

彼女には『選ぶ意志』がない。

状況がそれを望んでいないこともあるだろう。

いや、そのように仕組んでいるのだ。

けれど僕は、それを否定する。

僕は人間が持つ、意志の強さを知っている。

その強さは外殻から如何に攻撃されようが衰えることはないのだ。

弱くなることがあるとすれば、それは全て内からの自壊である。

だとすれば……

彼女は優しいのだろう。

汚れを知らない、無垢で真っ白な少女。

しかしだからこそ。

僕は許せない。

人が『最も尊ぶべき感情』を利用する人間を。

彼らが悪でないことは分かっている。

その動機は『正義』だと言っていい。

こうして『多』の為に戦う人間が、この時代にもあることを喜ばしくも思う。

だから……

この感情はきっと、正しくはないのだろう。

誰の為にもならない。

彼女の為になるかどうかすらも分からない。

だが!!

ここで動かない人間が!!!!

円卓の騎士であるはずがない!!!!

目を開く。

そうか、あの男が。

僕の討つべき敵。

拘束を力任せに破壊する。

自由になった身体は考えるまでもなく、あの男のところへ——

見えない壁に道を阻まれる。

だが、それは僕を遮る障害にはなり得ない。

その存在を把握した上で対処すれば、ただの薄皮だ。

もう一度——

その瞬間、自分に向かうものの気配がした。

なるほど、英霊がどういうものかは理解しているらしい。

それで止まるものもあっただろう。

だが!!

この身は円卓の騎士!!

ギャラハッドなれば!!

僕を止めたいのであれば、攻撃などという選択は万が一にも考えるべきではなかったな!!

一度は阻まれた壁も、そのつもりで挑めばなんのことはない。

さらにもう一枚あることも今ならば見える。

先ほどのものよりは少しは丈夫らしい。

だが、この盾であれば!!

自分に恐怖の目が向けられているのがわかる。

だが、対象にしている男は少しも動揺していない。

この男は死ぬことに恐れがないのか……?

その表情は穏やかだ。

何がそんなに嬉しいのか、何事か満足している印象を受ける。

そうか。

この男を殺しても意味はないのか。

僕が壊すべきなのはこの環境だ。

だとすればここで見せるべきはこの盾ではない。

僕も出し惜しみをしている場合ではなかった。

無謀にも自分を現界させた連中だ。

最大限の礼儀を持って、その行いの結果を思い知らせてあげよう。

あれ……

手が勝手に——

ぐっ——!

これは……少女の意志——!?

強く自分を抑える力……!!

これは……

だが、なんでこんな時に——!!

『やめてください!!』と必死の懇願が聞こえる。

これは確かに少女の声。

自分をあんな氷の牢獄に閉じ込めた連中を庇おうと言うのか……

そうか……

この少女は自分が汚れる以上に……

人が汚れることを何よりも嫌うのか……

それはまるで——

ならば僕は君に従おう。

君がその想いを叶えるまで、またはその最期を迎えるまで。

僕は君の盾となろう。

しかし、それをどう扱うかは君の自由責任だ。