「あれが…ウルクのキレた斧…」「ウルク関係者から『エルキドゥには時々英雄王ですらドン引きする一面があった』と聞いてはいたけれどね」

幕間の物語(男性鯖)

 

ダ・ヴィンチ「やめておいた方がいいよ。

その二人を呼んだら多分、今の5倍ぐらい話がこじれる事になる。

下手に騒ぎを大きくしたら、新体制に引き渡す前にカルデアが更地になるかもだ。」

 

マシュ「な、何があったのですか!?

これは……シミュレーターの訓練の域を超えています!」

 

ダ・ヴィンチ「ああ。

だから迂闊にシミュレーターを終了させる事もできない。

こちらに戻って来たら、カルデアの中だろうとそのまま戦闘を継続しそうな勢いだ。」

 

マシュ「確かに……。

正直なところ……

あんなモードレッドさんは初めて見ました……。」

 

円卓領域キャメロット特異点の時とも違うね。悪態一つ溢してないのが逆に怖い」

 

ダ・ヴィンチ「そうだね。

普段のモードレッドが持っている人間性が、強い敵意で怒りの感情ごと抑え込まれているように見える。

ただ、今回の場合はギフトや呪いの影響じゃない。

純粋に、感情が消し飛ぶぐらいの怒りに触れたんだろう。

自分が今シミュレーターの中にいるって事も忘れてるんじゃないかな。

本気で倒すつもりに見えるね。」

 

マシュ「エルキドゥさんが、モードレッドさんをそこまで怒らせたという事ですか!?

いったい、何が……!?」

 

「……そこは簡単に踏み込めないような……」

 

ダ・ヴィンチ「いや。

藤丸君は理由を知っておいた方がいいかもだ。

シミュレーターに記録された映像を見せるよ。

ああ、モードレッドには映像の記録がある事は黙っておくように。

二人を仲裁する為に、話をここで偶然聞いていた事にするのは仕方がないけれどね。

会話の内容を改めて口にするのは厳禁だよ。

それくらいデリケートな案件ってコトだから。」

 

マシュ「そ、それほどまでに……ですか。」

 

ダ・ヴィンチ「宥めるため……というより、怒りの原因を知っておかないと会話中、そこに触れかねないからね。

人によっては敢えて蒸し返していくかもだが、そこはキミを信頼してるから教えると思ってくれたまえ。

今、映像を出すよ……。

ほら、このあたりだ。」

 

「これは……!?」

 

モードレッド「まあいいか。

丁度休もうと思ってた所だ。

話ぐらいは聞いてやるよ。」

エルキドゥ「僕はただ、君の『救い』が知りたいだけなんだ。」

 

モードレッド「あん?」

 

エルキドゥ「君は、モルガンという女性に『アーサー王を討ち滅ぼせ』と記された設計書に従って生み出された存在だと聞いたよ。」

 

モードレッド「……。」

 

エルキドゥ「結果、君は母親であるモルガンの設定した仕様通りにアーサー王を討ち滅ぼして、その治世を終わらせた。

アーサー王の統治は知っている。

全盛期の功績を分析する限り、困難極まりない、不可能に近い難題だと推察したよ。

だからこそ、だ。

その困難から目を背けずに、創造者の期待通りに、役目を完全にこなしきった君にこそ聞いておきたい。

その為だけに生み出された君は、それで救われたのかい?」

 

モードレッド「…………。」

 

エルキドゥ「父親であるアーサー王の国を滅ぼした瞬間、感情や理性に何か変化はあったのかな?」

 

モードレッド「…………………………………………。」

 

エルキドゥ「もしも、願いを果たした後にも生きながらえていたとしたら……。

いや、つまりサーヴァントになった今……

生まれて来た理由を終わらせてしまった君の中には、何の意味が残っているのか……

それが聞きたいんだ。」

 

 

「いつか、何かやらかすと思ってた……。あれが……ウルクのキレた斧……」

 

ダ・ヴィンチ「ウルク関係者から『エルキドゥには時々英雄王ですらドン引きする一面があった』と聞いてはいたけれどね。

まあ、あの相手との距離感の考え無さはキミと似ているし、長所にも短所にもなる……。

今回は、短所としての側面が強く出た感じかな。」

 

マシュ「冷静に分析をしている場合ではないのでは!?

早く止めないと取り返しのつかない事に……。」

 

ダ・ヴィンチ「その通り。

このままじゃシミュレーターから出た後にも禍根を残すのは確実だし——

さっきも言ったように、こっちに戻って来た後も普通に戦闘を継続する可能性がある。

というわけで、シミュレーターの中に居る内になんとか説得して矛を収めさせないといけない。」

 

「すぐに入って、直接止めてきます。報酬は原初の産毛でお願いします」

 

ダ・ヴィンチ「前にも言ったけど、こっちが欲しいぐらいだったよ。

私たちは最後まで資源の調達に苦労したからねえ。

まあ、軽口を言える余裕があるなら大丈夫。

油断してるようにも見えないし。

……してないよね?

じゃあ、よろしく頼むよ。

色々あったけれど、最後には遺恨なくカルデアを後にしてもらいたいからね。

シミュレーターとはいえ、調整したばかりだからくれぐれも精神の安定には気を付けてくれたまえ。」