英霊の皆さんもカルデアから退去を始めていますが…。わたしたちには英霊の方々に説明をするという、大きな仕事が残っていますからね。

幕間の物語(男性鯖)

『……ねえ』

わたしぼくの事、覚えてる?』

ぼくわたしと会った時の事、まだ、覚えてる?』

『一緒に過ごした夜の事、まだ、覚えてる?』

わたしたちぼくらが今 口にした こと まだ おぼえて くれてる?』

『もしも、あしたか、 あさってか、その次の日か』

『それとも、ずっとずっと先のいつか』

『もし また会える事 が あったら わたしぼくは————』

『まだ きみあなた の 知ってる ぼくわたし か な』

(繰り返されるノイズ)

 

『お前は

誰だ?』

 

マシュ「大丈夫ですか!?

たいへんうなされていましたが……。」

 

「……もしかして寝ちゃってた?」

 

マシュ「はい、こう舟をこぐようなアクションで。

意識レベルは安定しているようで、なによりです。

とはいえ、いつものレムレム状態と比べると幾分強く魘されているようでしたから……。

下総の時のような事になっているのではないかと肝を冷やしましたが、問題はなさそうですね。

今は何かあったとしても先輩を支援する為の人手が少ないですから……。」

 

「そうか、英霊のみんなは……」

 

マシュ「はい、もう大分準備は進んでいます。

2017年も、いよいよ終わりに近づいていますので。

もうすぐいらっしゃる新所長を迎えるにあたって、英霊の皆さんもカルデアから退去を始めていますが……。

わたしたちには英霊の方々に説明をするという、大きな仕事が残っていますからね。」

 

「明日までに清姫や頼光さんと話し合わないと……」

 

マシュ「皆さん、マスターを信頼していますから。

喜ばしい別れだと微笑んでくれるのではないでしょうか。

わたしも皆さんとお別れするのは寂しいですが、最後まできちんと英霊の方々をお見送り——」

(誰かが走ってくる音)

???「おっとマスター君!

すまないが、そこをどいてくれたまえ!

具体的に言うと30cmほど右に!

理由が必要かね? ならば叫ぼう! 私の腰の為に、と!」

 

マシュ「えッ?」

「この声は……!(避けない)」

 

???「クッ……!

反応が計算より2秒遅い!

このままでは間に合わないと見たネ!

ならば次善の策にフライHIGH!

犯罪者らしく高飛びして避けるとしよう!

クレオパトラのように華麗に! 軽やかに!

外見は無理だからせめて声のトーンだけでも真似てネ!

とーゥ!

(腰が逝く音)

ぐ……ぬ……クぉぉ……。

おお、ニーチェよ! は死んだ!

これは大いなる関節への冒涜と見たネ!

第一部、完!

だが、私は負けないヨ!

明日もう一度来てくれたまえ!

本物の悪というものをお見せするヨ!!

仰げば尊し! イザさらば!」

(走り去る音)
 

マシュ「腰を抑えながら走り去ってしまいました……。

ああいった方もいらっしゃいますので、最後まで気を抜かずに頑張りましょう。」

 

「いつもよりテンションが少しわざとらしかった。多分、また何か企んでるんじゃないかな……」

 
(誰かが走ってくる音)

マシュ「おや?

あれは……ムニエルさん?」

 

カルデアスタッフ「おーい、藤丸、マシュ!

今こっちにモリアーティが来なかったか?」

 

マシュ「教授なら、あちらに走って行かれましたが……。

何かあったんですか?」

 

カルデアスタッフ「あのおっさん、シミュレーターに細工して、仮想空間に隠れて退去をやり過ごそうとしてやがったんだよ。

なんとか直前でホームズとダ・ヴィンチが気付いて食い止めたけど、本人はまだ逃げ回ってるんだ。

ったく、新所長とやらが来た時にシミュレーターが変な事になってたら、どんな難癖をつけられてた事か……。」

 

「そこまでして退去したくないんだ……」

 

カルデアスタッフ「まったく。

今度来る所長も一流の魔術師だろうし、そんな小細工しても見破られちまうのになぁ。」

 

マシュ「という事は、シミュレーターはもう修復できたのですか?」

 

カルデアスタッフ「ああ、今はテストも兼ねて何人か入ってるよ。

退去前に、最後に身体を動かしたいとかでさ。」

 

「今の内に、挨拶しておこうかな……シミュレーターの状態も気になるし」

 

マシュ「そうですね。

わたしたちも行ってみましょう、先輩。」