アビゲイルの旅(幕間前)【FGO考察SS】

FGO考察SS

ここは広い宇宙の、どこかにある大きな古い図書館。

あらゆる知が蓄えられている場所。

私が住んでいた星のことだけじゃない。

あらゆるの星、銀河、世界。

その規模がどれほどの大きさなのかは、数えることはもちろん、想像することも難しいの。

ここに立ち入るためには条件があると、伯父様はおっしゃっていたわ。

でもね。

べつに自分が特別な存在である必要はないし、特別な能力なども必要ないの。

その条件は意外と簡単。

1.自分の目的がはっきりしていること。

2.目的のために”ここ”が必要不可欠であること。

この二つだけ。

とても簡単なように思えるけれど、この条件に当てはまる人というのはとても少ないの。

当然といえば当然ね。

自分の星を越えるような目的を。

必要にかられて真剣に求める人間なんて。

かなり頭のおかしな人だものね。

……私の目的ははっきりしているわ。

もう一度ラヴィニアに会いたい。

そして座長さんたちのいるカルデアにも行って、力になりたいと思っているの。

この目的は一見ふたつに思えるけれど、実際には同じことよ。

会うためには何よりもまず、力が必要だもの。

実のところ、座長さんたちに会いに行く方法は別にあるのだけれど。

それはズルみたいなもの。

とってもいけないことよ……

でもね。

いけないことって、すごく魅力的に見えてしまうの。

やってはいけないと思えば思うほど、考えないように考えるほど。

どんどんいけないことをしてしまいそうになるの。

……私って本当は悪い子なのかしら?

我慢できればいいのだけれど。

この旅に不満があるわけではないの。

むしろ毎日が驚きの連続でとっても楽しいわ!

ここにいる方々とお話しするのも面白いの!

最初は怖い……というか怪物のような見た目の方がいたらどうしようと不安だったけれど。

伯父様の言う通り、何の不安もなかったわ!

これは説明が少し難しいのだけれど、ここでの外見は心というか魂の形を、見る人の価値観に合わせて形作られるの。

だから人によって見え方はそれぞれ違うということね!

だから心の醜い方がいらっしゃったら、その……怪物のように見えてしまうこともある、と思うわ。

でもね。

そんな方がここに来ることはあり得ないの。

伯父様の話だと『心の醜さは”何を考えているか”よりも、”どこまで考えているか”に比例する』とおっしゃっていたわ。

思考する範囲の狭い人はその目的自体も狭い訳だから、ここに入れる条件にそもそも当てはまらないんですって。

うーん。

だからと言って、私は自分がそんなに大層な人間だとは思えないのだけれど……

私は”どこまで考えているか”というよりは、”どこまで受け入れられるか”側の人間だと思うわ。

誰かの為にお祈りをすることもすれば、誰の為にもならない、いけないこともしてしまう。

私ったら本当は心がとっても広いのね!

うふふ。

私は会いたい人が、善人であろうが悪人になろうが受け入れられる気がするもの。

もちろん優しいままの方が嬉しいけれど。

本当に好きだったら善悪なんて関係ないわ。

その人の隣に寄り添えるのなら。

同じ場所で同じ景色を互いの目に映すことができたのなら。

それ以外のことは些細なことよね。

……そういえば私って、他の人たちからどう見られているのかしら。

あまりおかしな姿に映っていなければいいのだけれど。

私、初めての方に話しかけるといつも驚いたような顔をされるの。

たぶん『なんでこんなに小さな子が!?』という気持ちなんだと思うわ。

自分でもこんなに素晴らしい場所に居てもいいのかなって思うもの。

ここにいる方々は私から見ると何でも知っていて、お考えも立派な先生ばかり!

何をここにお求めになっているのかなんて畏れ多くて聞いたことはないけれど、話してくださったところで何をおっしゃっているのか理解する自信がないの。

これは当てずっぽうだけれど、神様に祈るだけの私とは違って、あの方々は神様の手伝いをしようとしているのではないかしら?

きっとそうだわ!

私もそんな風になりたい気持ちはないわけじゃない。

でもそれは、私の一番にはならないものだから。

今、この時にするべきことではないのね。

ああ……

——早く。

早く会いたいわ。

でもその為にはもっとお勉強しないと!

という訳で気分転換の散歩は終わり!

 

私はここにしかない色の花園を抜けて、端の分からない大きな建物を目指す。

『待っててね。

私は絶対、あなたに会いに行くから……』